2015年2月6日金曜日

ヘリウムによる塞栓症の機序

12歳女性がTV番組撮影中にヘリオックスを吸引して意識障害になったニュースがあった。
ヘリウムによる空気塞栓症の機序を考えてみた。

ヘリウムの溶解度は0.0870ml/mlH2Oで、窒素0.01470ml/mlH2Oの半分しかない。
もしヘリウムで塞栓になるなら、窒素で塞栓になる可能性の方が高くなるはず
だとしたら、日常的に空気塞栓の人がいるはず。
実際には空気塞栓なんてダイビングとか潜水士でしか発症しないレアな疾患である。

ポイントはスプレーから直接吸引した(だろう)こと。
1.スプレーから直接ヘリオックスを吸った
2.高気圧の気体が肺に流れ、肺の一部にBarotrauma(気圧性外傷)を引き起こした
3.肺の損傷部位から直接血管内に空気が流入した
4.立った状態であれば空気は脳血管に流れ、脳梗塞を引き起こした
以上が機序だと考えられる。

イメージ的には大きく息を吸って肺が最大に膨らんだ状態なのに、スプレーから高気圧の空気が流れてきて、肺の一部が壊れたということ。
溶解度の問題ではないので、スプレーから大量の空気を吸わない限り窒素での塞栓は起き得ない。
大人でも同様なことが起こりえるが、肺活量が大きな大人であればBarotraumaになりにくいだろう。


ちなみにダイビングや潜水士の塞栓症の機序は以下の通り。
1.水中の高気圧環境で血液中に窒素が溶解していく
2.1気圧環境に戻った時に、溶解しきれなくなった窒素が血管内で気体に戻る
3.塞栓症状を引き起こす


高気圧環境の塞栓症は大血管で塞栓が起こるとは限らず、多様な症状が起こる。

2015年1月24日土曜日

アメリカの車の話

よほどの都会でない限りアメリカでの生活に自動車は必須だ。
そのあたりを紹介したい

車は注文生産ではない

ディーラーでは通常、たくさんの新車在庫を抱えている。
その在庫の中から気に入ったものを選ぶ。
日本のように色はこれ、オプションはなどというのは一般的ではない。
中古車と同じ感覚で選ぶと言うイメージでいいと思う。

同系列のディーラーでは情報を共有しているので、違う支店の車を手配してもらうことも可能だ。
日本と同様で、金額の交渉もある程度は可能だが、これは英語力と努力が必要になる。

中古車の価格が下がりにくい

中古車の価格は日本と比べ物にならないくらい高い。
5年落ちの中古車でも新車価格の70%くらいで売られている。
留学などで滞在期間が決まっている場合、新車で買うのもありだと思う。
アメ車とか日本ではなかなか手が出しにくいけど、アメリカなら思ったより安かったりする。

日本車は値段が高め

日本で外車が高いように、アメリカでは日本車が高めの値段だ。
それでも市内を見回すと50%近く日本車が走っている。
故障が少なくて、市民の評価を得ているのだと思う。
日本車は中古でも高めの値段になっている。
リセールを考えると日本車のほうが有利かもしれない。

維持費が安い

州によって法律が違うので一概には言えないが、日本と比べて自動車系の税金が安い。
Wisconsin州の自動車の税は年に$50程度(だったと思う)。
日本の自動車系の税金が高すぎるので、少しは見習ってほしい。
ガソリン価格も現在$2/ガロン、65円/リットル($1=120円換算)程度。
ちなみにガソリン価格は昨年から約半額になった。
原油安の影響がそのまま反映されている。

保険料は僕の場合年間$1500程度と少し割高になっている。
これは日本語対応の保険会社を選んだためだ。
自動車保険は任意で、日本のように自賠責保険の制度はない。
自賠責保険がある日本はアメリカより一歩進んでいると思う。


まとめ

運転免許の取りやすさ、維持費の安さなどは車が必須な文化を象徴している。
日本より維持費が安いこと、リセールが高いことを考えると多少の初期費用を差し引いても
人気のある車を選ぶのがいいと思う。